野桑の里スタッフブログ

高嶺福祉会の『野桑の里』の日々の活動の様子をご紹介しています。

Googleプラスボタン facebook Twitterボタン YuTubeボタン はてぶ

点滴

今は人間が自然に死ぬこと(老衰死)が難しい世の中だと思います。
施設で看取りを行っている中で、最期の瞬間を苦しい息をしながら迎える方、本当に眠るようにして息を引き取る方・・・いろんな最期をみさせていただきました。
終末期に入ってからの対応で一番悩むのは「点滴」です。
終末期だからと言って、ご本人はずっと眠ったままや意識が無いわけではありません。
普通にリビングに出てこられても食事や水分が摂れない姿を見ていると、なんとなく放っておけなくて「少し点滴でもしてみましょうか」となってしまう。一度点滴をしたからといって状態が劇的に改善する訳ではなく、でも何もしないのは可哀想に思い、結局来る日も来る日も点滴をすることになります。
でも本当は、食べられないのではなく「食べない」のだと思います。生命維持に限界を感じた身体細胞たちが「そろそろ身体を土に還す時がきた」と信号を送って「食べない」行動で準備を始めているのに、それを間違った親切心で邪魔をしているのでは・・・と痛切に感じる出来事がありました。

同じ月にお亡くなりになったA様とB様。
A様は辛抱強くおとなしい方でした。食事が摂れなくなってきたので点滴が始まり、浮腫が見られたり血管確保が出来なくなるなど、点滴を中止する理由がないまま亡くなる前日まで続きました。
B様は頑固で暴力的な方でした。食事が摂れなくなってぐったりしていても、断固点滴は拒否されたため、自分の口から食べられるだけ飲めるだけを摂りながら過ごしました。
A様は苦しい息をしながら最期を迎えられ、B様は突然でしたが本当に眠るように旅立たれました。

高齢者に対しての点滴をどこで引くか・・・人間の英知を恨んでしまいます。
しかし、今後、人が最期を迎える場所としての責務を担う特養としては、このお二人が残してくださったものから目を背けずに考えていかなければなりません。